ライフサイエンス フォトクロミック材料

ココがポイント

光などの外部環境変化で金属イオン、水素イオン、酸素などを吸着・脱離できる高分子材料
~水中の有害金属の回収や空気からの酸素濃縮を光でコントロール可能な材料~

人々は便利さをもとめ、地球の資源を活用して工業が発展してきました。しかし、人間や生き物にとって、有害なものも発生し様々な環境へ影響し、場合によっては公害などの問題を引き起こしました。有害な重金属の問題や、二酸化炭素による地球温暖化などはご存知の通りです。

環境化学科の鈴木隆之教授が指導する機能高分子化学研究室では、これらの環境課題の解決に向けた研究が行われています。その中で光や温度、あるいはpH値などの変化に応答して、性能または機能を変化させることができる材料があります。しかも繰り返し変化させることができるように設計された高分子(刺激応答性高分子と呼ばれています)を研究しています。

具体的には、光によって水中の鉛、亜鉛、銅などの重金属を吸着回収できる高分子フィルム、フォトクロミック材料の研究をしています。研究している高分子フィルムは、水中の重金属イオンを暗所で吸着し、可視光をフィルムに照射すると重金属イオンが脱離するので、光の照射を制御することにより、有害な重金属イオンを回収できます。従来は多量の汚泥が発生する「中和凝集沈殿法」や回収時に薬品を使用する「吸着法」で回収しています。本方法では、汚泥の発生もなく、薬品も使用しません。光だけです。よって、低コスト、安全に回収できます。また、繰り返し使用でき、長寿命です。

また、吸着時に色も変わるため、センサーなどの応用も考えられます。これを応用し、水素イオンによる刺激で色が変わるpHモニタリングが可能な高分子フィルムも開発しました。つまり、何度でも使える「リトマス試験紙」というわけです。これで水環境をモニターすることができます。また、同様に酸素を吸着できるように高分子を設計し、試作、評価を行ったところ、光での制御が可能になりました。

さらに、酸素の吸着・放出も出来る高分子を研究しています。「酸素濃度」や「酸素圧縮」というキーワードが使われる分野での応用が考えられ、例えば食品の鮮度を保つため酸素濃度を制御したり、燃焼を加速したいときに酸素を放出したりすることが可能になります。

これらはいずれも特許出願し、産官学交流センターでは技術移転に向け展示会やセミナーなどでPRしたところ、企業に注目いただき、企業との共同研究を3件、 現在進めています。共同研究はいずれも、企業が実用化するため、大学では特性、性能のブラシュアップを中心とした研究を、また、企業ではこの高分子材料の 特性評価や組み込むための装置開発を行っています。

このように特許出願により、大学の研究成果が産業財産権のある技術となるため、企業も導入しやすくなり、実用化も加速される面があります。研究成果の特許出願をお待ちしております。

【フォトクロミック材料に関する特許一覧】

出願名称 特許番号
フッ化アルコール溶液 特許第4803334号
光応答性金属イオン吸着材料および金属イオン回収方法 特許第4919447号
光および熱応答性吸着材料、可溶性物質の回収方法 特許第4736362号
光応答性酸素吸着材料及び酸素分子濃度の調整方法 特許第4780496号
光応答性銅イオン吸着材料および銅イオン回収方法 特許第5376627号
光応答性二酸化炭素吸収材料および二酸化炭素回収方法 特許第5392902号
冷蔵庫 特許第5436347号
pH指示用共重合体、それを用いたpHモニタリング装置及びpH測定方法 特許第5665187号

他出願特許3件あり

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