ライフサイエンス 体内で触診を!臓器をやさしくつかむ!

~MEMS 3軸触覚センサ付き鉗子~

ココがポイント

「体内で触診を! 臓器をやさしくつかむ!~MEMS 3軸触覚センサ付き鉗子~」
腹腔鏡下手術で、直接、臓器に触れられない医師に触覚情報を提供できると共に、手術の教育などにも活用が期待されるMEMS3軸触覚センサ付き鉗子(かんし)の開発

胸腔ないし腹腔の内視鏡下手術用ロボットとして米国で開発され、商品化された「da Vinc(ダ・ヴィンチ)」は、 患者への低侵襲な手術を可能にする新たな外科手術システムとして初めて開発された製品であるが、手ごたえ等の触感を感知する機能が無い為に、縫合糸の操作 等の手加減が難しく、糸を引き千切ってしまったり、縫合が不完全になってしまう可能性がある事が欠点として指摘されている。
このように、現在、腹腔鏡下手術は医師が画面を見ながら視覚情報をもとに鉗子を操作しているものの、患部の硬軟などの触覚情報が殆ど得られない状況下で手術が行われている。これに対して、桑名先生達のチームが提案している新しい技術では、MEMS3 軸触覚センサおよびリニアポテンショメータを鉗子に取り付けることで、必要な情報を計測し、臓器に加える力や鉗子でつかんだものの硬さが計測できる事を確 認しており、今後、臓器に余分な力が加わらないようにしたり、硬さ情報によりがんなどの患部を特定するのに役立てる事が可能となる。

1.研究の背景

腹腔鏡下 手術は腹部に数個の小さな穴をあけ、細長い専用の術具を用いて行われる。切開領域が狭いことから術後の回復が早いため手術数、適用範囲とも拡大傾向にあ る。一方、細長い専用の鉗子を使っての作業であるために必要以上の力が加わったりする可能性があり、また開腹手術のときには指で触って判断していた硬さ情 報が得られないなどの課題がある。

2.臓器への負荷の低減と患部の硬さ計測

負荷の低減

鉗子の先端の把持部に付けた2個のMEMS3軸触覚センサとリニアポテンショメータで、操作時に加える圧縮力と引っ張り・押し込み・曲げ・ねじりの力および鉗子の開閉量を計測、これにより臓器への負荷を計測し、低減することが可能となる。

硬さ計測

鉗子の先端部の開閉量をリニアポテンショメータで測るとともに、MEMS3軸触覚センサで対象に加わる圧縮力を計測し、正しい硬さを把握することができ、例えば正常組織より硬いと言われている癌組織を正確に把握する事が可能となる。

3.想定される用途

腹腔鏡下手術用の把持鉗子

腹腔鏡下手術は、消化器系の他、呼吸器系でも研究されているが、触診自体が困難な呼吸器系の場合、ニーズが高いと見込まれる。またロボットによる遠隔操作の場合も、同様と考えられる。

手術の教育やトレーニング

熟練者の技術を数値化することで、多人数の教育を一度に行ったり、またトレーニングの習熟度を図ることもできる。

【特許情報】
発明の名称:「医療装置」
出願番号:特願2014-034903
出願人:東京電機大学
発明者:桑名 健太(東京電機大学)、中井 亮仁(東京大学)、土肥 健純(東京電機大学)、正宗 賢(東京女子医科大学)

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