2026年度:第50回カリキュラム

ハイブリッド形式
(1)東京電機大学の学生は所属キャンパスで受講
(2)上記以外は東京千住キャンパスで受講とオンライン(Zoomウェビナー使用予定)の選択制
【1時限目】18:00~19:15 【2時限目】19:30~20:45 
※役職は2026年8月25日現在を記載しています。なお、題目・講師は、都合により変更になる場合があります。

9月29日(火)

佐久間 一郎(東京電機大学 総合研究所 特別専任教授)

少子高齢化や都市構造の変化による医療格差の拡大、慢性疾患の増加、新興感染症への対応など、医療を取り巻く環境は大きく変化しています。生体制御による回復力向上、行動変容支援、在宅医療機器、ロボティクス等の技術を用いた医療機器・ヘルスケ機器の開発が期待されています.本講義ではこれらME研究開発の方向性について議論します。

田口 光正(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 高崎量子技術基盤研究所 先端機能材料研究部 次長)

本講義では、放射線(特に電子線やγ線)を利用した生体適合材料および機能性バイオデバイスの創製技術と、その最新の応用事例について解説します。材料の改質、表面機能化、架橋・分解反応、ナノ構造制御など、放射線がもたらす特有の作用を活用した先端バイオデバイス開発の原理を説明するとともに、具体的な研究事例を紹介します。さらに、生体を模倣したデバイスの創製、三次元細胞培養技術、診断・治療デバイスへの応用など、放射線技術が切り拓くバイオ・医療分野の新たな可能性について紹介します。 

10月6日(火)

中谷 達行(岡山理科大学フロンティア理工学研究所 教授/慶應義塾大学理工学部 訪問教授)

ダイヤモンド状炭素膜(DLC)の基礎特性とプラズマ成膜技術を概説し、医療材料表面におけるたんぱく質吸着、血小板付着、細胞応答の制御によって生体親和性を高める仕組みを解説します。さらに、ステント、人工血管、カテーテル、歯科インプラントへの最新の応用例を紹介し、社会実装上の課題と今後の展望を示します。

大越 康晴(東京電機大学 理工学部 電子情報・生体医工学系 教授)

ダイヤモンド状炭素薄膜(DLC: diamond-like carbon)薄膜は、抗血栓性や細胞親和性などの優れた表面機能を有しており、整形外科、歯科、循環器、再生医療分野への応用が進められています。また、プラズマプロセスの進展に伴い、DLCの構造や機能は多様化しています。本講義では、DLCの分類および、各種DLCの特徴と医療応用について概説します。

10月13日(火)

森 武俊(東京理科大学 先進工学部 機能デザイン工学科 教授/
日本医療研究開発機構 介護テック領域 
プログラムスーパーバイザ)

看護と工学の連携は、患者中心のケアをより高度化するための重要な取り組みです。看護学の観察力や臨床知見に、工学の客観的計測や設計技術を組み合わせることで、リアルタイム性が高く信頼できる支援の手法やシステムが実現します。例えば、ロボティックマットレスによる褥瘡予防や、歩行・足底圧の計測に基づく糖尿病足病変予防など、看護現場のニーズを出発点にした工学的解決の成果が出始めています。このような実践はデザイン思考的アプローチに基づき、現場の課題を共に抽出し、試作・検証を繰り返すプロセスが鍵となります。ケアの質とQOLの向上につながる新しい領域「看護理工学」の展開を実例を交えて紹介します。

仲上 豪二朗(東京大学大学院医学系研究科 老年看護学/創傷看護学分野 教授)

看護学が対象とする現象を理解し、的確な介入を提案するためには、臨床をつぶさに観察することから始め、メカニズムの探索、客観的計測方法の開発、介入機器・システムの開発、臨床での評価といった、一連の円環的研究プロセスが求められる。それを実践しているのが看護理工学であり、「無いなら創る、そして広める」をスローガンにした新しい融合的研究フレームワークといえる。基礎と臨床、そして研究と実践の結びつきについて、褥瘡管理や末梢静脈カテーテル挿入技術に関する研究事例を通して解説する。

10月20日(火)

井上 淳(東京電機大学 工学部 機械工学科 教授)

糖尿病患者の足を守るには、今まで把握できなかった足と靴の間に発生する剪断力を把握して、最適な靴を選定・処方することが重要です。本講演では、極細径ワイヤ型センサと機械学習を用いた剪断力推定技術を解説し、その適切な靴処方や足潰瘍予防への応用可能性について紹介します。

村松 和明(東京電機大学 理工学部理工学科 生命科学系 教授)

医療の分野において、高分子量ヒアルロン酸は主に物理化学的な特性が着目されますが、抗炎症・抗免疫作用等の生理活性に着目した医療応用にも期待することができます。
講演者は、分解吸収性を改善したヒアルロン酸誘導体を開発し、その生理活性が様々な医療用途で活用できる可能性を示してきましたので、その一例を紹介いたします。

10月27日(火)

伊藤 雅昭(国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院 副院長 大腸外科長)

昨今外科治療の環境は大きく変化し、内視鏡手術やロボット支援手術の導入が進んできた。これらの外科治療の進展には新たな医療機器開発が深く関与しており、外科医はその主導者としての役割を果たしうる。
我々は、手術支援ロボット開発を目指したスタートアップを起業し、手術ロボットANSURⓇは薬事承認された。また、AIを利用した外科手術におけるリアルタイム支援システムの開発も進められ、SurVis™︎が薬事承認された。
工学者と外科医の継続的な協働によって初めて、優れた医療機器の開発が実現する。

西中 知博(国立循環器病研究センター 研究所 副所長 人工臓器部部長)

機械的循環補助法は重症心不全の診療において必要不可欠な治療法である。機械的循環補助法関連医療機器は、各種研究開発によって著しい進歩を遂げている。これらの研究開発、臨床現場での実践などの成果による機械的循環補助法の現状について概説する。
一方で対象とする患者群は重症例を対象としており、治療成績の向上に向けた様々な課題がある。今後へ課題とその課題の解決に向けた研究開発の状況について提示する。

11月10日(火)

石井 健介(高知大学医学部附属病院次世代医療創造センター 特任教授)

医療機器を取り巻く環境は、AI・プログラム医療機器(SaMD)やリアルワールドデータ(RWD)の活用拡大により大きく変化しています。本講演では、近年の規制動向や承認審査をめぐる変化を概観するとともに、レギュラトリーサイエンスが医療機器イノベーションの創出と社会実装に果たす役割について、具体例を交えながらご紹介します。

朔 啓太(国立循環器病研究センター研究所 循環動態制御部 室長 /バイオデジタルツイン研究部 特任部長)

臨床視点と単純な循環モデルを武器に医療機器開発を推進しています。循環シミュレーターを用いた臨床用の循環動態検証ソフトウェアやバイオデジタルツインプロジェクト、自動治療システム、カテーテル開発、心不全診療連携アプリなど基盤技術とその応用・実用化についてお話できればと考えています。

11月17日(火)

佐藤 康史(旭川医科大学 先進医工学研究センター 助教 )

患者自身の組織でつくる次世代医療 — 組織工学が切り拓く、成長に追従する人工心臓弁の可能性
現在、臨床で使用されている医療機器や人工臓器の多くは、高分子や金属などの人工材料で構成されていますが、これらは長期使用時の生体適合性や耐久性、特に小児における成長への対応といった課題を抱えています。近年、再生医療や組織工学の進歩により、患者自身の細胞や組織を活用して生体適合性や再生能を備えた“生きた人工臓器”の実現が進んでいます。本講義では、自己組織を用いて作製される人工心臓弁の開発を例に、組織工学技術を活用した設計・製造法から、大動物モデルによる機能評価、そして将来的な臨床応用の可能性について解説します。

黒田 知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授)

医療ITシステムやME機器導入が成功するか否かは、それが臨床現場に「円滑に」受け入れられるかどうかに拠ることが少なくない。
多くの場合、全く新しいシステムや機器はユーザのワークフローの変更を伴うことから、その変化を利用者に受け入れて貰えるように、システムや機器を構築しておく必要がある。本講義では、業務全体にわたる医療情報システムを一つのサンプルとして、福祉工学で用いられるインクルーシブデザインと呼ばれる手法を用いて、円滑に導入できるシステム設計をする方法論について講じる。

11月24日(火)

田中 慶太(東京電機大学 理工学部 理工学科 電子情報工学系 教授)

本講座では、生体磁気計測技術の一つである脳磁図(MEG:Magnetoencephalography)について、その計測原理と医用工学への応用について解説します。微弱な脳磁界を高感度に捉える技術をもとに、脳機能の可視化や聴覚認知・注意機能に関する研究事例を紹介し、非侵襲的な脳情報モニタリングの可能性について議論します。

小林 宏一郎(岩手大学 理工学部 理工学科 電気電子・情報通信コース 学部長 教授 )

本講義では、高感度磁界計測装置であるSQUID磁束計の原理と測定回路について解説します。さらに、心磁図計測による心臓の電気活動の解析技術として、三次元輪郭抽出技術や信号源推定技術を紹介します。最後に、電界(静電容量変化)やRGBビデオ映像を用いた非接触心拍計測技術について、その概要を説明します。

12月1日(火)

平野 哲(藤田医科大学七栗記念病院 副院長/藤田医科大学 医学部リハビリテーション医学講座 臨床教授)

リハビリテーションロボットには、機能や目的に応じてさまざまな種類があります。本講演では、練習支援ロボット「ウェルウォーク」と自立支援ロボット「WPAL」を中心に、その開発経緯や臨床での活用について紹介します。さらに、開発で直面した課題や、AIをはじめとする新たな技術との融合を踏まえ、今後の展望について考えます。

正宗 賢(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授 )

本講義では、手術現場の臨床ニーズを起点として、手術ロボット、医療AI、スマート手術室などの手術支援技術を紹介します。術者の動作を単に代替するのではなく、安全性、精度、効率の向上に向けて、課題に応じた最適な技術をどのように設計し、臨床へ実装するかを解説します。

12月8日(火)

許 俊鋭(東京都健康長寿医療センター 名誉センター長)

1980年に日本最初の補助人工心臓臨床が始まり45年が経ちました。この間、日本の重症心不全治療成績は心臓移植15年生存率80%(ISHLT国際統計40%)、植込型LVAD(HM 3)5年生存率89%(Momentum 3米国統計58%)と世界に冠たる治療成績を達成してきました。講演では最近の経皮的VAD(Impella)やiPS細胞を用いた心臓再生医療についても報告いたします。

植野 彰規(東京電機大学 工学部 電気電子工学科 教授)

ME講座では全10回の日程の中で、19名の講師から医療と福祉の最新技術の動向と展望、社会的要請などについて講演をいただきます。これらの題目,概要群を振り返るとともに、包含する医用生体工学(ME)分野のキーワードや特徴をテキストマイニング的なアプローチで分析し、考察します。

修了式、情報交換会

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