第15号 「経営判断と教養教育」

2010.02.26

2月15日、経営同友会の特別講演会に東芝会長の西田厚聰様をお招きし、「グローバル化時代の企業経営」と題したご講演を頂きました。西田会長は、東芝のパソコン事業を興した功績者で、最近では原子炉技術大手のウェスティングハウス社の買収を決定するなど、抜群の経営手腕で知られています。

 講演の中で会長は経営判断について、一昔前は過去の経験や知識が役立ったが、グローバル化し変化が早い今日では、過去の情報はほとんど役に立たなくなった。経営者にとり、与えられた情報の中でいかに早く最適な判断をするかが、最大の課題になる。そこで重要なのがセレンディビティ(発見する能力)であり、リベラルアーツ(教養)と考えている。東芝では、新しい価値を創造するイノベーションを継続する環境を整え、また社員が教養を高める機会を設けている。大学にも判断力を育てる教育に関心をもって頂けるとありがたいと述べられました。

 私はご講演を聞き、判断力の教育、つまり教養教育の重要性を改めて認識しました。教養は今日学んで明日役立つというものではありません。特に不況で就職難の時代、技術や資格に関心が向きます。もちろん理工系大学の基本は技術の修得で、資格も邪魔にはなりません。しかし、その人の人間性がすべての基本にあるといえます。大学では教養教育が人間性の涵養を担ってきており、本学では設立当初から重視してきました。

 初代学長の言葉にも示されています。「よき技術者は人としても立派でなければならないのです。ですから技術者になる前に『人』にならなければなりません。技術者は常に人格の陶冶を必要とするのです」。

 まさに「技術は人なり」と言いうるのであります。

経営判断と教養教育01

経営判断と教養教育02

経営判断と教養教育03

☆☆☆理事長メッセージ 第15号(2010.2.26)☆☆☆
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