第84号 「昭和90年、戦後70年」

2015.12.20

 今年は昭和90年、終戦(昭和20年)から70年で、激動の昭和を振り返る様々な特集がテレビや新聞・雑誌で組まれました。私はBS放送の特集番組「昭和90 年の肖像」で、三島由紀夫、大宅壮一、吉田茂、松下幸之助、田中角栄、岡本太郎の6人を取り上げて昭和時代を分析したのを見、自らも同時代を歩んだ人間として日本の来し方、行く末を思い感慨深く感じた次第です。

 そこで今回は、終戦前後の学園の様子を年史からご紹介します。昭和19年以降の神田一帯はたびたびの空襲で焼土と化しましたが、本校は鉄筋コンクリート造が多かったこと、教職員の必死の防火により、建物や施設設備の大部分は消失を免れました。戦後の復興に大いに役立ったとのことです。そして終戦からわずか2週間余りの8月28日には授業を再開。

 旧陸軍から電機機械設備の払い下げを受け、職員生徒一致して学園の復興にあたりましたが、占領下の混沌とした世相、深刻な食糧難、厳しい交通地獄により落ち着いた授業はできず、またインフレ昴進、預貯金封鎖、新円発行などにより、学園財政はかつてない極めて厳しい状態を迎えました。しかし昭和21年には幸いにも入学者が増加、特に夜間教育の電機学校には志願者が急増し奇しくも回復。4年後の昭和24年の学制改革を機に、初代学長に丹羽保次郎博士を迎え、東京電機大学が設立されたのであります。

 今の在校生諸君は平成生まれで、戦争があったことすら知らない若者がいると聞きます。しかし、創立以来先人、諸先輩が情熱を傾け、真摯に、営々と築いてきた100年を超える歴史の上に、はじめて今日の東京電機大学があることを、決して忘れてはならないと感じた次第です。

昭和90年、戦後70年

☆☆☆理事長メッセージ 第84号(2015.12.20)☆☆☆
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