平成28年度 PBL教育支援プログラム 成果報告書「情報通信プロジェクト」

2017.07.13

開講学部 工学部 情報通信工学科
科目名 情報通信プロジェクト
担当教員 坂本直志・鈴木剛・月本洋・本橋光也・吉野隆幸・幸谷智・定松宜義

Q1 PBLを導入した意図・目的

この科目は4年生向けのプロジェクト科目として設計した。高度に専門化した学生がその専門性を生かして未知の分野を体験するのに、学生が主体的となって自由な発想で様々な知見を獲得させるのが目的である。さらにある程度の方向性を共有させるためにグループ学習とした。これらを行うため、教員がファシリテーターとして学生に関わるPBLを導入するのが最適と判断した。

Q2 授業におけるPBLの実践方法

今年度は授業設計を行った。
実際の実施では、希望者を募り、1グループ4人までとする。2グループに一台程度の3Dプリンタがあることが望ましい。
課題と必要資料については電子教材を開発し、常に閲覧可能で、ネットワーク上の資源をアクセスでき、また可動であるプログラムも配布する。
課題は学生をコントロールしつつ、自由な判断を入れられるように配慮する。「地形図」「ハンコ」などあらかじめ学生に具体的なイメージがあるものを自由に作成させるようにする。

実際の授業運営では、課題の説明と、成果報告のみとし、学生には自由に考え、実施し、失敗が許容されるような環境を作る。
なお、他のプログラムで実施している「アイスブレイク」は好評なので、時間は取られるが、本プログラムでも実施するか検討中である。

Q3 授業における成績評価方法

4つの課題をすべて実施し、すべての制作物を完成させ、製作物に対するプレゼンテーションを実施した場合に合格とする。
本プログラムは体験が目的なので、想定内の体験をしていることが確認できればよい。
学生が自由にできる時間を多くとるので、ファシリテーターが管理を怠ると運用に失敗する恐れがあるので注意が必要である。

Q4 学習成果の可視化の取組み

本プログラムの具体的な目標は、3Dプリンタによる成果物と、プレゼンテーション、マニュアルなど、すべて学生が体験したことを視覚化したものである。
なお、うまい作品を作ることが目標ではないので、レポートやプレゼンテーションの内容を評価の主要な対象とする。

Q5 PBLを発展させるための課題

本学科のように学科のカリキュラムにおいて「PBL」を前面に出した科目を設置する。PBLは教授内容により向き不向きあるが、逆にPBLに相応しい教育プログラムという発想で行えば、必ずPBLプログラムが実施できる。

Q6 授業の概要と進め方

1.3Dプリンタ入門: 地形モデルの出力
3Dプリンタの基礎を学ぶため、3Dモデルの作成を行い、マニュアル化する。 国土地理院の立体地図のページより3Dモデルのデータを作成し、 プリンタで出力するまでの手順をプレゼン形式にまとめ、 班毎に相互にブラッシュアップしてマニュアルを作成する。

2.STLファイルの作成: サイコロの作成
STLファイルは単純なテキストファイルであるが、3Dプリンタを動作させるためのフォーマットでもある。本課題では、STL のプログラムのプリント文で出力する事を考える。 計算で設計可能な物体をSTL 形式で出力するプログラムを作成し、実際にファイルを作成し、3Dプリンタで印刷するまで行う。

3.3D CAD: 印鑑の作成
3D CADである Autodesk Fusion 360を使用して、印鑑を作製し、作製の仕方をマニュアル化し、班毎に相互にブラッシュアップしてマニュアルを作成する。データの作製の仕方と、CAD の使用方法をうまく抽象化し、分離できることを目標とする。

4.自由製作 Raspberry PI ケースなどの自由製作
自由製作を行う。内容は規定しないが、ある程度のレベルと実用性を求める。特に、プレゼンテーションとレポートの内容には、設計の検討を詳しく説明すること。
なお、標準的な製作課題としてRaspberry Piのケースを提案する。Raspberry Piの公式ホームページに図面がある。DXFファイルはFusion 360で読み込み可能なので、活用できる。


〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)

東京電機大学教育改善推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。