令和4年度 PBL教育支援プログラム 成果報告「総合英語ⅠA・B」

2023.04.01

開講学部 理工学部/共通教育
科目名 総合英語ⅠA・B
担当教員 【理工学部/共通教育群】
河上 睦

Q1 PBLを導入した意図・目的

本理工学部の多くの英語初・中級者レベルの学生は、入試のために語彙や文法を暗記してきているが、実際に英語を使用する機会をほとんど持ったことがなく、コミュニケーションに困難さを覚える学生が多い。使える英語力を育成するためには、インプット・アウトプット・インタラクションの機会が重要であることが多くの第二言語習得の先行研究により示されているが、大学入学までの英語学習経験においてこれらの機会が十分に得られなかった学生が多い。従って、本授業にPBLを導入する目的は次の3つである。1)4技能をバランスよく使えるようなタスクシラバスの開発のため。多読(習熟度レベルにあった多くのインプット)やプロジェクト型タスク(アウトプットとインタラクションの機会)活動を通して、学生が暗記だけに偏らず、様々な英語学習方略を使って学べるようなタスク活動の種類と配列を構成する。2) コミュニケーション力の向上を目指すため。グループワークやペアワークを円滑に行うことは、研究者・技術者として大変重要なスキルである。このようなスキルを培うために、毎週の授業で議論をしたり、協同的に学ぶ機会を通してグループ内での役割や円滑なコミュニケーションのための言語的・非言語的アプローチを修得することを目指す。3) 英語学習に対するやる気を継続させ、専門分野での英語学習の基礎づくりを目指すため。多くの理工系学生にとって、将来英語は必須となるが、英語学習に苦手意識を持つ学生が多く、1年間を通して英語学習に対するやる気を継続させることは難しい。したがって、1、2年次に短いタスクをつなげたプロジェクト活動を授業で行うことで、英語学習の意義や面白さを体験させ、3年次以降に直面する専科と関連した英語学習(English for Specific Purposes)につなげたかったため。

Q2 授業におけるPBLの実践方法

本プロジェクトは、2つの異なる習熟度レベルのクラスで行った。グループ分けは、学期初めに行ったニーズ分析に基づき、興味のある分野を共有する学生を1グループにつき4名ごとに分けた。対象授業と課題については、以下のとおり。

1.中上級クラス(1年RE学系/RM学系)26名
【前期】社会的な問題を自分ごと化してその解決法に取り組む(資料1)
教科書や多読本の内容を気候変動、持続可能性、教育などの社会問題と関連付けて考え、問題の本質についてグループディスカッションを通して見極め、その解決法をグループで提案し、それをパワーポイントを用いてクラスに報告した。
【後期】夢の製品開発に取り組む(資料2)
前期に話し合った社会問題を解決するために役立つ新製品やサービスを考案し、その広告を発表し、ビデオに録画した。(資料3)評価は、アイディア・コスト・需要などの観点から購入したいと思うかどうかクラスメイトの投票と作文(表現課題)、発表の仕方(発信課題)によって行った。

2.初級クラス(1年RU学系) 29名
【前期】人間関係や教育に関する問題を自分ごと化して解決法を探究
教科書や多読本の内容と「人間関係」や「教育」における問題を関連づけてグループディスカッションを行い、ディスカッションの構造や表現を学んだ。また、英語学習方略を指導し、各自が用いている学習方略や言語知識をグループ内で共有したり、自らの学習を振り返る学びの基礎づくりをし、学んだ内容をポートフォリオ形式でまとめて発表した。(資料4)
【後期】前期に見つけた解決法を試してみる
前期に話し合った「人間関係」や「教育」の問題を解決する方法を各グループで調査→解決法を実施→評価修正し、発表した。
両クラスとも、前期には社会問題について説明する語彙や表現を学び、グループワークの基礎を築き、後期には社会問題についての解決法を模索し、提案した。また、中上級クラスでは、後期には、やんわりと提案する表現の指導と実践を行った。

Q3 授業における成績評価方法

必修英語では統一の評価基準があるため、授業内活動への評価(30%)と期末試験(10%)をPBLの評価として以下のとおり行なった。
1.資料収集・分析→調査ノート (10%)
2.表現→期末プレゼンテーション資料作文 (5%)
3.発信→期末プレゼンテーション(5%)
4.メタ認知学習→レビューシート(10%)
5.インプット→多読 (10%)

Q4 学習成果の可視化への取組み

学習成果の可視化への取り組みとしては、自分の学びを振り返ったり、グループメンバーの学習が即時的にわかるように、グループごとのフォルダーを作成し、資料を保存・共有したり、One Noteを用いて、「調査資料まとめレポート」や「振り返りノート」を作成した。
また、グループ間でプレゼンテーションについて、あらかじめ共有している指標に基づいてフィードバックコメントを交換したり、提案内容やプレゼンテーションの実施方法について評価を行なった。

Q5 PBLを発展させるための課題

ICTを活用した授業を行うことで、情報が明確化でき、情報共有がスムーズに行うことができる反面、利用目的に合ったツールを探すことが難しかったり、初期の設定に手間がかかることが挙げられる。また、ファシリテーターとして、通常授業では教員1名で約10個のグループに対応することが難しいため、副手に手伝っていただいた。しかしながら、副手のファシリテーターとしてのトレーニングが必要であったり、専門的なトピックについての議論に関わる際には、異なる学系の副手では対応が難しい場合も見られた。

Q6 授業の概要と進め方

1.中上級クラス(1年RE学系/RM学系)

2.初級クラス(1年RU学系)


〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)

東京電機大学教育改善推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。