大学院 未来の扉を開く高度研究

機械加工学研究室

松村 隆松村 隆
工学研究科 機械工学専攻 教授 博士(工学)

松村 隆
工学研究科 機械工学専攻 教授 博士(工学)

東京工業大学助手を経て、1992年東京電機大学工学部に着任。2002年より教授。マサチューセッツ工科大学客員研究員、砥粒加工学会理事、自動車技術会生産加工部門委員長、精密工学会理事などを歴任。

硬く脆い材料をマイクロオーダーで自在に加工

硬く脆い材料をマイクロオーダーで自在に加工

私は1993年4月に東京電機大学に研究室を開設し、以来20年以上、生産技術分野におけるものづくりの研究に取り組んでいます。その核としているのが、切削などの加工技術ですが、現在はガラスやサファイアといった硬くて脆い材料に対する微細加工に注力しています。私の研究の主眼は、これらの材料を割らずに削ること。しかも、マイクロオーダーでの精密加工です。たとえば、実験用のスライドガラスに極めて細い幅の溝や微細な凹凸を作成することも可能。そこに血液や試薬などを入れて、合成したり観察したりすれば、スライドガラス1枚が小さな実験工場になり、バイオ分野のデバイスとして利用されます。一方、金属の表面に1分間に2万個のマイクロディンプルを切削する技術を開発しています。これにより光の散乱を自在に制御することが可能になります。さらに、硬度の高いサファイアの微細切削にも挑戦しており、その成果は宇宙開発や防衛技術、宝飾品などの分野で実用化できるものと期待しています。
これらの加工手段としてはウォータージェットやエンドミルを使いますが、少しメカニズムを工夫するだけで、さまざまな加工が可能になります。その条件を自分たちで考え、実現することがポイントです。さらに、これまでの研究の成果から「、切削加工の見える化」にも取り組み、さまざまな切削の過程を数値解析し、切れ刃形状や切削条件を切削力と切りくず生成で評価するシミュレーションソフトを開発。実際に工具メーカーにおいて、製品開発にも利用されています。
同時に、私の研究室では、研究生たちの語学力向上にも大いにこだわっており、ゼミは基本的にすべて英語で行います。昨今、生産拠点を海外に移す企業が多く、技術者にとっても英語は必須。技術用語を含め、学生時代から英語力を養ってほしいという思いから実施しています。
現在、数多くの企業と共同研究や受託研究を進めており、成果が自動車や航空機、医療器具、工作機械、切削工具など、非常に幅広い分野で活かされています。これからも、実用的なヒントに満ち、企業に興味を抱いてもらえるような研究活動を続けていきたいと考えています。

自分たちで作る工作機械

自分たちで作る工作機械自分たちで作る工作機械

エンドミル(軸方向以外にも切削することができる刃)を用いて、サファイアやガラスなどに微細加工を施す装置。松村研究室では、このような装置も学生たちが主体となって作ります。

微細な表面加工

微細な表面加工 拡大図微細な表面加工

マイクロアスペリティ(精密機械工で表面にμm単位の微細な突起を生成すること)により、濡れ性や付着性といった素材の表面機能を自在に制御できます。たとえば、水滴の形状を四角く変えてしまうことも可能になります。

関連コンテンツ