高田 和幸
理工学研究科 建築・都市環境学専攻 教授 博士(工学)
1994年、東京工業大学修士課程修了。東京工業大学助手を経て、2000年に東京電機大学理工学部助教授に着任。2004年9月から約1年間、SEO Amsterdam Economicsの客員研究員を務める。2012年10月から教授となり、現在に至る。
人々の行動や企業の活動を分析し、数学的にモデル化する。これによりさまざまな評価を行い、都市における問題をオムニバスに解決していくことが「都市・交通計画研究室」における研究のテーマです。具体的にはフィールドワークやアンケート調査をベースに人や情報、モノの流れを考察し心理学やミクロ経済学における効用関数や利潤関数なども用いて問題の要因を探っていきます。
たとえば東日本大震災以降は、都市における災害避難計画の見直しが進んでいますが、東京都足立区や宮城県気仙沼市を対象に人や車両の流れをコンピュータ上でシミュレートすることで、災害発生時にどれだけの人間が安全に避難できるかを研究しています。これにより避難計画における問題点を洗い出し、改善策を考えて提案することが目的です。
また東松山市と協力して、バス路線が整備されていない地域における交通弱者(高齢者や自動車を所有していない人)を対象にした、「デマンド交通」の社会実験なども行っています。決められたポイントでのみ乗降できる定額制のタクシーサービスを提供することで、交通弱者のモビリティがどれだけ確保できるのかを解析しています。
他にもスマートIC(ETC専用のインターチェンジ)導入による渋滞緩和と環境への影響の調査、外航クルーズ船の帰港による経済波及効果の調査、駐車場の整備統合による「歩行者中心のまちづくり」の検証など、多種多様なテーマに取り組んでいます。
数学や経済学はもちろんのこと、プログラミングや統計解析、GIS(地理情報システム)などの広範囲の知識が求められるため、学部の授業を補う意味でもさまざまなタイプのゼミを実施しているのが当研究室の特徴です。「安全、安心、快適」をキーワードに、都市における住民の満足度を研究対象としているため、人と関わる面白さも魅力のひとつではないでしょうか。
GIS(地理情報システム)を利用して、デマンド交通サービスの利用者の動きを可視化したもの。これを分析することにより、サービスの最適化を目指しています。
市街中心部における駐車場の統合を促すことで、歩行者に配慮した「まちづくり」を行うという研究プロジェクトのため、さまざまなシミュレーションを行っています。
研究対象のモデル化にあたっては、アンケート調査などのフィールドワークが欠かせません。テーマによっては自治体の協力により、数千件規模のアンケートを収集しています。