2026.04.01
| 開講学部 | 工学部/応用化学科 |
| 科目名 | ワークショップ |
| 担当教員 | 【工学部/応用化学科】 夏目亮・阿部善成・岩﨑直也・鈴木隆之・石丸臣一・保倉明子・宮坂誠・ 小林大祐・山本哲也・木戸晶子・望月大 【工学部/自然科学基礎系】 田中里美 |
本科目は、化学分野におけるモノづくりの体験的学習を通して、我々の生活と化学との関わりについての理解を深化させることを目的としている。受講者は少人数グループを編成し、設定されたテーマに基づいて主体的に学習活動を進め、得られた成果をプレゼンテーションおよびレポートとしてまとめることで、知識の統合と表現力の向上を図っている。
扱うテーマは、①銀塩カメラの作成、②医薬品(鎮痛剤イブプロフェン)の合成、③蒸留操作、④色変化する高分子ゲルの合成、⑤発光性プラスチックの合成、⑥燃料電池による発電など、基礎から応用まで多岐にわたり、化学の社会的意義や実用性を実感できる内容となっている。
従来、本科目は夏期集中講義としてモノづくりの実践に重点を置いてきたが、限られた期間内で成果の整理・発表まで行うことが困難であるという課題があった。そのため、学習成果の発信の場として、11月にポスター形式の発表会を別途実施してきた。
2025年度は、これらの課題を踏まえPBL(Project-Based Learning)を導入し、学習プロセスの構造化と成果の可視化を図ることとした。具体的には、各テーマにおいてグループ内での協働を促進し、課題設定、実験計画、実施、結果の解釈、成果発信までの一連のプロセスを体系的に経験させることで、従来よりも質の高いポスター作成およびプレゼンテーションの実現を目指した。
さらに、ポスター発表会には企業等で活躍する専門家を招へいし、学生の発表内容およびプレゼンテーションに対する講評を受ける機会を設けた。招へい者については、応用化学科における主要研究分野と関連する領域の実務家を想定し、学術的視点に加えて社会的・産業的観点からのフィードバックを得ることで、学生の学習意欲の向上とキャリア意識の醸成を図ることを目的とした。
本授業では、学生の主体的な学習意欲を引き出すことを重視し、ガイダンス時に各テーマの内容および実施方法を具体的に提示した上で、学生から第一希望から第三希望までの希望を募り、それに基づいてグループ分けを行った。各グループは約10名で構成し、全体で10テーマに分かれて実験・実習を実施した。
授業運営にあたっては、各グループに教員1名と副手1名を配置し、少人数制による指導体制を整えた。この体制により、学生一人ひとりの理解度や関心に応じた指導が可能となり、通常の実験科目と比較して、より対話的かつ主体性を引き出す学習環境を実現した。
授業は夏期集中講義として実施し、事前に基礎知識の習得を目的とした課題を課すことで、講義期間中はモノづくり活動に専念できるよう設計した。実験終了後には、2~3名の小グループ単位で成果を整理し、ポスターとしてまとめる活動を行った。
成果発表は11月にポスター発表会として実施し、企業等の外部専門家を招へいした。発表会では講演および学生発表への講評を行い、学内外の多様な視点からのフィードバックを得る機会とした。加えて、学生、大学院生、教員、外部専門家による投票を行い、優れた発表を表彰することで、学習成果の発信意欲と発表の質の向上を促した。
本授業では、達成目標を以下の3点に設定し、それぞれの比重に基づいて評価を行った。
(1) 身のまわりに起こっている現象を理解し、説明できる(40%)
(2) テーマに沿ったモノづくりに主体的に取り組む(40%)
(3) ポスターを作成し、成果を分かりやすく発表できる(20%)
評価は、モノづくりへの取り組み姿勢(40%)、実験結果および考察をまとめたレポート内容(40%)、ポスター発表における内容および発表態度(20%)の観点から総合的に行った。
特にレポートでは、単なる結果の記述ではなく、現象理解の深さや考察の妥当性を重視して評価を行った。また、ポスター発表では、論理的な構成、視覚的な分かりやすさ、質疑応答への対応力などを含めて評価し、知識の統合的な活用力を確認した。
本授業では、ポスター作成および発表活動を通じて、学生の能力形成を多面的に把握する仕組みを導入した。
ポスター作成の過程では、実験内容を整理し、伝えるべき情報を精選して構成する必要があることから、企画力および情報整理力の向上が見られた。また、発表においては、他者に対して分かりやすく説明し、質疑に対応する経験を通じて、プレゼンテーション力およびコミュニケーション力の向上が確認された。
さらに、グループでの活動を通じて役割分担や協働作業を行う中で、チームワークや課題解決に向けた協働的姿勢の醸成が認められた。特に、ポスター作成段階では、意見交換を重ねながら内容を洗練させる過程が見られ、主体的かつ協働的な学びが実現された。
発表会においては、学生、大学院生、教員、外部専門家による投票を実施し、複数の視点から成果を評価することで、学習成果を可視化した。外部専門家からの講評は、内容の正確性に加えて社会的意義や伝達力に関する指摘を含み、学生が自らの到達度を客観的に認識する契機となった。
本授業の実践を通して、学生の主体的な学習態度の向上や、協働的に課題に取り組む姿勢の定着が確認された。また、ポスター発表会における外部専門家からの講評や表彰制度は、学生の学習意欲および成果発信力の向上に大きく寄与している。
一方で、夏期集中講義という短期間でモノづくりと成果整理を行うため、特にポスター作成や発表準備に十分な時間を確保する工夫が求められる。事前課題や進捗確認の仕組みをさらに充実させることで、学習プロセスの質を一層高めることが期待される。
また、グループ活動における個々の学生の貢献度をより明確に把握するための工夫も必要である。個人ごとの振り返りや活動記録の導入により、学習成果の把握と評価の精度向上が図られると考えられる。
さらに、外部専門家から得られた講評を授業改善に継続的に活かしていくための整理・共有の仕組みを整備することで、教育効果の一層の向上が期待される。
本授業では、器具・消耗品の整備、ポスター制作費、大学院生による指導補助、外部講師への謝金等に支援費を活用し、実践的な学習環境を整備した。今後もこれらの環境を維持・発展させることで、より質の高いPBL教育の展開が可能になると考えられる。
【目的概要】この科目は(1)身のまわりに起こっている現象の調査、(2)物づくり、などの体験学習を通して、我々の生活と環境との関わりについて理解を深めることを目的にしています。受講者は、ガイダンス時に提示されたテーマから1テーマを選択し、幾人かのグループでコミュニケーション力を付けながら、各担当教員の指導助言に沿って自主的に学習活動を行い、その成果をプレゼンテーションしたり、レポートにまとめて提出したりします。
【授業形態】実験・実習(夏期集中)9/1(月)〜9/5(金)、他1日の合計6日間
※配属されたグループによって日程が異なる可能性があります。ガイダンス資料で確認してください。
【達成目標】(1)身のまわりに起こっている現象を理解でき、説明できる(40%)、(2)テーマに沿った物づくりを体験する(40%)、(3)ポスターを作成し,実施テーマの成果についてわかりやすく発表できる(20%)
【関連科目】化学 I、化学II、有機化学 I、無機化学 I、物理学 I、物理実験、無機・分析実験、 物理化学実験、 有機化学実験、 化学工学実験
【評価方法】物づくりへの取り組み方(40%)、身のまわりで起こっている現象を理解しているかどうかのレポート内容(40%)、プレゼンテーションの内容およびその態度(20%)
【課題に対するフィードバック方法】各教員からの指示のもと、テーマごとに対応します。
【授業計画】
第1回 ガイダンス
第2回~第14回 グループ別実験、実習
講演会・ポスター発表会
〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)
東京電機大学教育開発推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。