2026.04.01
| 開講学部 | 工学部・未来科学部・システムデザイン工学部 |
| 科目名 | 総合英語Ⅳ |
| 担当教員 | 【工学部/英語教育系】 原田 依子 |
本科目は全学部の学生が混在する選択科目であり、学生の専門分野も英語力も多様である。こうした環境において、教員主導の一斉講義形式では個々の学習ニーズに対応することが難しいため、学生が主体的に課題に取り組み、互いの発表から学び合うPBL形式が特に有効であると判断した。
前年度からの課題として、学生の「効果的な発信力・コミュニケーション力」の向上を目指してきた。2024年度の実践では視覚的な分かりやすさを重視したが、発音面の課題が残った。そこで2025年度は、発音・非言語コミュニケーションに焦点を当て、これらの要素が複合的に機能して初めて「伝わる英語」が成立するとの仮定のもと、「分かりやすく伝える力」の向上を目的として実践を行った。グループは英語力のばらつきを考慮し、教員が指定する形で4〜5名程度で構成し、グループワーク時は机を向かい合わせに移動させてグループ内での対話を促し、教室のホワイトボードを活用してアイデアの整理や発表構成の検討ができる環境を整えた。
教材には理工系の英文を使用し、異なる専門分野を持つ学生が「専門外の聴衆に分かりやすく伝える」という実践的な課題に取り組んだ。これは将来的に異分野の相手に技術内容を説明する場面を想定した、問題解決型の学習を意図したものである。さらに、発表後に他グループと相互評価を行うことで、学び合いの機会を設け、自分たちの発表を客観的に見直す視点も養った。
各評価項目は技術英語のプレゼンテーションに必要な能力を多角的に測定できるよう設計した。具体的にはLanguage Accuracy(20点)、Delivery & Communication(30点)、Content & Organization(20点)、Visual Effect(20点)、Time Management(10点)の計100点で、全4回のプレゼンテーションを評価した。最終回では得点に加え、これまでの回からの改善度も併せて評価した。
成績評価では測りにくい能力の定着を可視化するために、自己評価(5点満点)を導入した。「協力・時間管理」(平均4.26点)・「スライドの活用・論理的話の展開」(4.10点)の高評価から、チームで協働しながら論理的にスライドを構成する力が身についたことが確認された。一方、「アイコンタクト」(2.97点)・「聞いている人を見て話をする・自信を持って質疑応答する」(2.76点)の低さから、非言語コミュニケーション力はまだ十分に習得できておらず、次年度の指導課題として特定された。
また、「発音の明確さ」と他項目との相関分析から、論理構成力(r=0.65)・情報収集力(r=0.58)が高い学生ほど発音・発話が明瞭であることが示された。これにより、プレゼンテーション力の向上が発音練習単体ではなく、論理構成力・情報収集力の成長と連動していることが数値として確認された。
加えて、学生コメント(「発音を意識して話すことで伝わりやすくできた」等)を質的エビデンスとして記録し、スコアには現れにくい自己効力感の向上も補完的に把握した。
① 発信力の強化
情報収集力は高まりつつあるが、調べた知識を自分の言葉で即座に発言する力がまだ不足している。Q&Aトレーニングを導入し、インプットをアウトプットへとつなげる練習が必要である。
② 非言語スキルの体系化
アイコンタクト・体の向きに関する自己評価は最も低かった。発音トレーニングと同様に、具体的な動作の「型」として授業に組み込み、繰り返し練習することが必要である。
③ 論理構成力の強化
発話が不明瞭になる原因は、発音そのものよりも話の筋道が整理されていないことにある可能性が高い。「何を言うか」を明確にする論理構成の指導を強化することで、発音・デリバリー全体の向上につなげる。
④ 評価設計の精緻化
現在の自己評価は学生の主観に依拠しており、能力の成長を客観的に測るには限界がある。授業前後のpre/post比較や教員評価との対照分析を加えることで、学習成果をより正確に把握できるようにする。
14回の授業を、「文献読解→シャドーイング・音読練習→プレゼンテーション」の3ステップを繰り返す構成で進めた。第2〜4回・第5〜7回・第9〜11回の3ブロックでは、電気回路/加熱による卵の変化/鳥はなぜ飛ぶか(力学的分類)を順に扱い、第12〜14回の最終ブロックでは、グループ自身がトピックを選び、構造と機能・メカニズムの説明を含むプレゼンテーションを行った。
プレゼンテーションの説明形式はトピックごとに「プロセスの説明」「定義の説明」「分類の説明」「根拠の説明」と段階的に高度化し、技術英語に必要な説明パターンを体系的に習得できるよう設計した。また、事前・事後学習として60〜90分の音読・シャドーイングや復習を課し、授業外での継続的な練習も重視した。
〇PBLを主体とした教育への取組みに対する支援(PBL教育支援プログラム学内公募)
東京電機大学教育開発推進室では、平成23年度から「学生が主体となって学ぶ」形式を取り入れた、いわゆる「PBL(Problem-Based Learning又はProject-Based Learning)」による教育の開発・運営を「PBL教育支援プログラム」として支援し推進しています。
PBL教育支援プログラムは、これからPBLを取り入れていこうと考えている教員やすでに実践しているPBLをさらに工夫しようと考えている科目を対象に支援を行い、その実践と成果を学内の関係者と共有し、学生の学びを主体とした教育の推進を図ることを目的としています。