先輩からのメッセージ No.3

三青 里予 (仮名)さん
最終所属:工学部第一部 電子工学科
卒業年月:平成元年3月卒業
現所属:江東区立中学校
担当科目:技術科

教員を目指したきっかけ・時期

大学3年生の時、卒業した中学の数学の先生の勧めで教職課程(免許:数学)を履修し始めました。当時はバブル絶頂期で、早々にマスコミの技術職に就職が決まり1年分残して卒業しました。その後、30年経って東京都教員採用の年齢制限が59歳に引き上げられ、程なく電機大の教職課程で中学校技術科免許が設置されたのをきっかけに「社会人30年の経験と知識を、技術科を通して若者に伝えたい」と思い、教員を目指すことを決意しました。前職と違い60歳を過ぎても再任用制度で同じ職務内容で働ける、今後10年間の中期的視野に基づいた判断がありました。中学の先生と電機大との出会いで、既に引かれた一筋の線の上を歩んでいるような感覚でした。

教職課程を履修する上で工夫したこと

電機大卒業後、中学校技術科免許を科目等履修で取得を目指す人へ。この30年の間に必要な教職科目が増えました。さらに教科に関する20単位は新規に取る必要がありました。しかし分野の幅が広いので得意な科目を選ぶことができました。教育実習3週間・介護体験5日間・特別支援学校2日間も達成。全54単位。時間割的には週3日で2年間分ですが、教育実習関連と教職実践演習は3年目に持ち越しました。3年目は採用試験対策や自己啓発に時間を有効に活用できました。授業は30年前と同じ、学生感覚で受講できました。評価は30年前は殆どC、今回は殆どA。進歩を感じられる充実した3年間でした。

教職課程を履修した上で特に役立ったこと

社会人の中学校技術科の教員免許取得は、栽培等の実習があるので難しいようですが、電機大の卒業生は科目等履修でも取得できます。技術系で人との交流を楽しみたい方ならば、中学校技術科教師は大変有意義だと思います。東京都教員採用試験では中学校技術科の受験者は多くはないので、自分の魅力さえ高めれば必ずや合格できるでしょう。電機大で学べばそのレベルは超えられると感じています。私は長い間大学の授業から離れていましたが、やり遂げることができました。また、事務部教職担当の方々のご協力は欠かせませんでした。教職を履修するならば一般企業に就職が決まったとしても、いつか役立つ時が訪れると信じて最後まで進む覚悟で頑張ってください。

採用試験対策について

〔筆記試験(専門教科、一般教養、論作文等)〕
教職教養は知識ゼロの状態から市販の参考書1冊を1日4時間、3ヶ月かけて習得しました。1冊マスターできたらそれで十分でした。技術科の専門教養は日常で得た知識が役立ちますが、間違って憶えている可能性があるので確認が必要でした。中学校技術科の教科書の内容把握は外せません。情報分野に関する問題は初歩的だがシステム・プログラム等範囲が広いので、普段から触れておくことをお勧めします。トマト・きゅうりの栽培を経験しておくと試験対策以上に、実際に教員になったときにも役立つと思います。2科目合計で最低120点は欲しいです。

〔人物試験(面接試験)〕
社会人枠のグループ討論で「それはある程度効果があると思うのですが中学生にはこの点で難しいのでは。こうすればさらに良くなると思いますがいかがですか」と、他の人の意見に挑みました。この様に問題提起案や改善案を数多く用意して、それが適時出てくるようにするとよいと思います。教員に限らず話術は必要です。連続して言葉が出るように、まず身近な教授と日常会話を楽んでみてはいかがでしょうか。冒頭で2回続けて意見すれば皆自分の方向を向いて話をしてくれ、スムーズに発言できるようになります。加えて、試験官がグループ討論を聞きながら自ら意見したいと思うこともあると予想し、試験官の表情を逆観察しながら「試験官の心の声を代弁」できるなら、さらに有望です。

教育実習の体験談等

教育実習は30年前に続いて2回目でした。授業では指導案を練りに練って作り、丁寧に説明し生徒に理解してもらいます。しかし翌週復習をすると、殆どの生徒は忘れている状況でした。続く他のクラスでは改善を進めていくのですが、やはり多くの生徒は忘れてしまっています。たとえば、家庭の電源は交流100V。これを中学生の記憶に留ませるのは至難の業だと実感しました。さらにどんな工夫が必要なのか。その前に、教育の目的は何なのかを改めて考え直してみること、将来どんな人になって欲しいのかを考えることが重要です。切り込み方をかえると指導の方向が見えてきます。なぜ自分は技術者になったのか、答えは自分の中にありました。交流100Vの暗記だけでは科学技術立国は成り立たないのです。30年前は気が付かなかったことです。

介護等体験談等

デイサービスで介護体験をしてきました。デイサービスとは、利用者様が来所されて入浴して、お昼を食べて体操をして、夕方帰られる施設です。介護体験と言えば介助という印象が大きいのですが、私の主な役割は利用者様との交流でした。デイサービスでは曜日毎に来所する利用者様が決まっており、グループ化ができてただ座っているだけの方も居られました。そこで学生はテーブルを回り、利用者様の中に入って会話に弾みをつけます。これから介護等体験をされる皆さんは令和時代の学生の活きた話を披露して、利用者様の記憶を引き出す手伝いをして下さい。経験豊富な利用者様のお話は役に立つはずです。そういった意味で私は力不足でした。いつか行く道、来るべき日の下見に終始した5日間でした。

将来、どのような教員を目指したいか

「将来、ノーベル賞をとる人材を育成する教員を生み出す指導者」になるのが、限られた時間の中でできる最高の社会参画だと思います。

これから教員を目指す電大生へメッセージ

昔、電機大の教授曰く「何にでも興味を持て」。電機大卒の上司曰く「日々自己啓発」。この2つが習慣になって、時が経つと違う世界が開けてきます。入学や就職で学びを止めると、座して定年を待つ中年まっしぐらになります。趣味を持つことも重要です。多彩な趣味を持つ人は行動力に違いがあります。特に日常スポーツは必須。健康のためにも一生帰宅部、なんてことがないように。

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