2021年10月 今月の顔 伊東 明俊 教授

2021年10月号から今月の顔 工学部 機械工学科 伊東明俊教授をご紹介します

口腔内コントローラの開発で新聞紹介

工学部 機械工学科
伊東 明俊 教授

早稲田大学大学院博士後期課程退学 博士(工学)。
早稲田大学助手、群馬大学助手を経て、1994年本学工学部講師。2002年より現職。

伊東教授と、口腔内コントローラを付けた電動車椅子に乗る修士1年の吉田直煕さん

軟体型圧力センサによる電動義手の駆動

電動義手による絹ごし豆腐の把持

筆者の研究室では、軟体型圧力センサによる電動義手の駆動研究を行っていました。通常の電動義手は、筋電位によって駆動します。しかし、筋電位は筋肉の活動に伴う微弱な生体信号により駆動しますので、ノイズに弱く、実用的な電動義手では、指先の開閉動作をさせるのが精いっぱいなのが現状であり、値段の割にできることが少なく、実際に使われることが少ないという問題がありました。
これを、半球状の柔らかなシリコーンゴム膜の内部にフォトリフレクタを内蔵した軟体型圧力センサで、筋肉の膨張・かたさ変化を計測し、それをもとに電動義手を駆動する方式に改めました。このセンサではノイズがほとんどなく、極めて安定した駆動ができるため、指の開閉だけではなく、開閉速度の調整、センサの増設による手首の回旋機能の導入など、簡単に成功しました。STEF(簡易上肢機能検査)では、筋電義手をはるかに凌駕する操作性を示しました。さらに、本センサを義手の指先につけることで、なんと絹ごし豆腐を持たせることができ、これを日本機械学会Robomech2016にて発表したところ、義手はもちろんのこと、最新のロボットハンドでも絹ごし豆腐の把持は難しいのにと、大騒ぎになりました。

ペンフィールドのホムンクルス

ペンフィールドのホムンクルス脳内の処理面積に比例して体の大きさを改変した人形

しかしながら、自分でも義手を駆動していて、前腕や上腕の筋肉で手の動作を作り出すことに、何か違和感を感じました。ペンフィールドのホムンクルスによると、人の脳内では、手の占める割合が圧倒的に大きく、次に舌や口腔内が大面積を占めます。前腕や上腕の占める面積はわずかです。今の義手のような極めて単機能なものであれば駆動情報を作り出せますが、今後義手が高機能化し人の手のようになったとき、前腕や上腕の筋肉で本当に繊細な駆動情報を作り出せるのか?もっと人の思いを自在に表現できないと手を駆動することは難しいのではないかと考えたわけです。

口腔内コントローラの開発

口腔内コントローラ

口はしゃべるときと食べるとき以外は空いています。もともと高機能で、しゃべるために人の思い通りに舌や口腔を複雑に動かすことができるのは、皆知っていることです。しかし、カメレオンでもないと、届く範囲が狭すぎ、そのまま手の代わりにはなりません。そこで、舌の高機能性を生かして、コントローラに使えれば、こちらの意志を自在に機械に伝えるインターフェースとして使えるのではないかと考え、現在開発しているのが、口腔内コントローラです。

構造は、軟体型圧力センサ同様、半球状のシリコーンゴムを舌で変形させる構造ですが、内部にフォトリフレクタを3つ均等配置してあり、これにより変形方向も割り出せるようになっています。当初は口の前方に設置して舌で押して上下左右に動かして制御する形式のものを作りました。これにより、電動車椅子を操縦したり、ロボットアームを第三の手として舌で操縦して、健常者のはんだ付け作業を補助させたりすることに成功しました。

現在、舌の疲労を減らすべく、設置位置を口腔の上方に変更し、舌を前後左右に動かして操縦するタイプのコントローラに改良している最中です。

この話をRobomech2021にて発表したところ、日刊工業新聞が取り上げてくれました。このコントローラの有効利用について、良いアイデアが思い浮かばれたら、是非ご連絡ください。特に「ヘイシリ」とか「ハイアレクサ」など、コンピュータに言葉で指示するのが嫌でしょうがない筆者のような方、よろしくお願いします。

口腔内コントローラで第三の手・ロボットハンドを操縦して、はんだ付け作業の補助をしている様子(卒業生の山崎航太郎さん)

口腔内コントローラで電動車椅子の操縦実験を行っている、吉田直煕さん(M1)と佐々木美遥さん(B4)

学園広報誌「TDU Agora」Vol.46(2021年10月号) 今月の顔より転載

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