2022年12月 TOPICS

2022年12月号からTOPICS、理工学部 機械工学系 山崎敬則教授のカリフォルニア大学バークレー校での海外研修をご紹介します

カリフォルニア大学バークレー校での海外研修

セイザータワーとドウ図書館

理工学部 機械工学系 山崎敬則 教授

昨年8月から今年3月まで、本学海外研修員としてアメリカ合衆国のカリフォルニア大学バークレー校に滞在させていただきました。昨年6月に秋学期からの対面授業再開の知らせを受けて事態が急転、ワクチン接種にビザ取得、米銀の口座開設とそれぞれ思うようには進まず、飛行機に乗った時には3週間の滞在先しか決まっていないという綱渡りの状況でした。渡米後、大学入構の手続きと並行して家探しに明け暮れたこの3週間は、全く生きた心地がしませんでした。

受け入れていただいたのは、同校機械工学科の富塚誠義先生です。日本人ではありますが、ちょうど鳩山キャンパスが開設された1977頃にアメリカに渡られ45年、アメリカ生活のほうが長い計算です。富塚先生が提案されたZPETC法と呼ばれる追従制御に関する論文は、現在までに2,000本近く引用され、私はこの富塚法(と呼んでよいと思います)を工作機械の輪郭制御に適用することを検討しました。

富塚先生と(右が筆者)

バークレーのPhDコースは基本5年で、富塚研にはアジアを中心に20名ほどのPhD学生がいましたが、彼らの優秀さとアメリカに残るというハングリー精神には驚かされました。バークレーのPhDを取れば安くとも年俸10万ドルと聞きましたが、彼らの実力を目の当たりにすれば当然と思え、良くも悪くも日本とは別世界になってしまったなと感じました。

学外では、リモートですが一般市民向けのアダルトスクールに通ったことがよい経験となりました。特にESL(English as a Second Language)クラスは、言葉が通じず仕事も得られないことが移民の犯罪につながるという考えの下に無料(州の予算)で受講でき、アメリカの懐の深さを感じました。参加したクラスの生徒は15名ほどでしたが、他に日本人はなく、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アラブとまさに多国籍でした。クラスは先生の裁量が大きく、アメリカの嫌いなところは?といった話題では、やはりみな医療(保険)の不安を口にし、また車上荒らしなどの被害にあった人も多く、アメリカの現実も垣間見られたように思います。

年は取りましたけれども、私にとっては夢のカリフォルニアであり、彼の地に滞在できたことはかけがえのない経験でした。そして理論を打ち立てた先生に直接学ぶことは、生涯もうないでしょう。改めて関係の皆様、送り出していただいた先生方に感謝申し上げる次第です。

リッチモンド行の渡船からサンフランシスコの街並を眺む

学園広報誌「TDU Agora」Vol.59(2022年12月号) TOPICSより転載

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